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【新刊選】12月のおすすめの新刊|みみずくは螢の息吹で飛び立つ

川上未映子、村上春樹『みみずくは黄昏に飛び立つ』

二冊目の、おすすめの新刊は、川上未映子と村上春樹という2人の人気作家による対談本、『みみずくは黄昏に飛び立つ』(新潮社)。

春樹大好き川上未映子

こちらの対談、よくある作家同士の対談は、(語弊のある言い方ですが)作家同士が対等の立場で対談が行われます。

『みみずくは黄昏に飛び立つ』が少し違うのは、村上春樹の大ファンだという川上未映子が、その愛を本人にぶつけていくという色合いが強い対談です。

だからこそ、川上未映子による尋常じゃない深い読みが披露されます。それに応じて村上春樹も、真摯に答えていく様子は、日本の文学の肥沃な可能性を感じさせてくれます

タイトルについて

ヘーゲルって知ってますか?名前だけなら知っているという方もいるんじゃないでしょうか。かれの言葉に「ミネルヴァの梟は、迫りくる黄昏に飛び立つ」という言葉があります。現実が終わった後に、哲学があらわれる、ということを言いたかったみたいですね。

ミネルヴァとはローマ神話の女神のこと。その女神が従えている梟のことです。そんなミネルヴァの梟は、知恵の象徴とされています。

で、その「ミネルヴァの梟」を「みみずく」に変えてしまったのですね。なぜみみずくなのかというと、『みみずくは黄昏に飛び立つ』が出る直前、村上春樹は『騎士団長殺し』という長編を発表しました。そこにでてくるわけです。みみずくが。

参考に、川上未映子のサイトを張り付けておきますね。

参考 みみずくは黄昏に飛びたってどこいくん川上未映子

森泉岳士 マンガ『 村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」 』

森泉岳士による、漫画『 村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」』。異色この上ない本ですね。

なぜ、この2つが並べられているのか、というのは正直分かりません。ただ、それぞれの作品は、歴史に名作として名が刻まれることが決まっているようなものです。

高橋一生が読んだ「螢」

ここでは、プチ情報だけを書いておきたいと思います。

突然、高橋一生の名前が出てきて、「ん?だれだっけ」となるかもしれません。が、近頃話題の、俳優の高橋一生です。なぜ彼が出てきたかというと、実は、高橋一生が、村上春樹の「螢」を朗読したことがあるんです。

「村上Radio」って知ってますか?その名の通り、村上春樹のラジオです。ある回の村上ラジオで、朗読してほしい作品が、ファンに向けて募集がかけられました。そして見事に選ばれたのが「螢」だったのです。それを、高橋一生が読んだということです。

ファンの間では超人気。でも、世間では意外と知られていないと思います。マンガになりますので、小説とも併せて読んでみてはどうでしょう。そして、「螢」を読んでみたら(読んでなくても)こちらも面白いですよ。

それにしても、河出書房は相変わらず、おもしろいことをしますね。

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